福泉 裕

労務改善と経営管理の改善等の課題と対応策

(生産性の向上を中心に)

<働き方改革と生産性の向上>

 安倍政権の目玉政策として掲げられている「働き方改革」において、「長時間労働の是正」と「同一労働同一賃金」が大きな課題となっています。各業界で深刻な人手不足が叫ばれている中、労働時間の短縮に取り組まなければならず、同時に賃金上昇の圧力も強まっているわけで、企業として労働生産性向上への取り組みは避けて通れません。

 

<キーワードとしてのワークライフバランス>

 生産性の向上を考える際、一つのキーワードとなるのが「ワークライフバランス」という概念です。2007年の男女共同参画会議では、ワークライフバランスとは、「老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態」と定義されていますが、簡単に言うと、「仕事と生活の調和が取れ、その両方が充実している状態」ということです。

 「そんなことをやっていたら、ますます仕事が回らなくなるのではないか」との疑問がわくかも知れませんが、発想を逆転させる必要があります。余裕が無いからこそ、生産性の向上や優秀な人材の確保、働きやすさを追求しなければならないわけです。つまり、業務の効率化によって就業の短時間化と生産の拡大をもたらし、同時に働く人の満足も高めようというのが、ワークライフバランスの基本思想です。

<ワークライフバランスのメリット>

 ワークライフバランス推進のメリットとしては、以下の四つが挙げられます。

①生産性の向上と長時間労働の削減

労働時間より成果を重視した働き方への意識改革 → 業務の効率化、仕事の削減 →時間当たりの生産性向上、長時間労働の削減 → ミスの減少、サービスの向上、無駄な時間外労働のコスト削減

②多様で優秀な人材の確保

出産・育児・介護等による人材の流出防止 → 組織に蓄積された経験・ノウハウの維持、新たな従業員の採用・育成コストの削減

多様な勤務制度の導入、組織イメージの向上 → 働く時間に制約のある優秀な人材の獲得

③従業員の健康増進とモチベーション向上

長時間労働からの解放 → 心身のリフレッシュ、健康リスクの軽減 → 仕事に対するモチベーションの向上 → 労働生産性の向上

④仕事の創造性の向上

仕事以外での新たな経験 → 個人の成長、多様な価値観を持つ人材の交流 → 新しいアイディア、創造的な仕事

 

<ワークライフバランスの課題>

 ワークライフバランス推進における基本的な課題としては、①意識の改革、②業務の効率化と長時間労働の削減、③多様な働き方の提供、④職場環境の改善、⑤人材の確保・育成などが挙げられます。

このうち本稿のテーマに直結する②業務の効率化と長時間労働の削減についてもう少し具体化すると、㋐仕事の効率化、㋑時間外労働の削減、㋒部署や個人による繁閑差の平準化、㋓季節や時間帯による繁閑差への対応、㋔社外との関係による急用頻発の防止といったことについて取り組むことになります。(セミナーでは、㋐~㋔についての対応策も紹介)

 

<まとめ>

  • 人手不足、賃金上昇圧力の中で、労働生産性の向上が不可欠となっています。
  • 企業には前向きな戦略として、ワークライフバランス推進への取り組みが求められています。