牟田賢己

福祉サービス事業への取り組みの現状

福祉サービスの業界は、保育・高齢・障がいの分野があります。福祉サービスは、今まで行政による「処置制度」にて運営されていましたが、利用者自らがサービスを選択する「契約制度」に変わりました。

また、民間の事業者の進出等もあり現在、制度の変更により環境が大きく変化しています。この環境変化により、各分野とも課題が浮き彫りになってきています。


保育分野では、待機児童解消対応のため、保育施設が急増し質の確保の課題が出てきています。近い将来、保育士の質の向上や少子化による保育園同士の競争激化、保護者からの保育内容に対する要望(保育だけでなく学習も)への対応等の課題があります。


高齢者分野では、高齢化の進展に伴う認知症への対応、高齢者住宅の質の問題、人材の確保等の課題、障がい者分野では、工賃アップそのための製品の質の向上や販路開拓、人材の育成と定着等の課題が見えています。

 

福祉サービスのどの分野でも、「質の向上」と「人材育成」が課題です。処置から契約への流れの中で株式会社の参入などもあり、過度な金儲けのための運営も散見されます。福祉の業界は一般企業のような、コスト削減や業績向上だけでなく、社会を運営していくためのインフラとして、どう充実させ守っていくかという「社会的共通資本」の考えや、“人の心を大切に”した経営を前提に、限られた資源を効率的に、有効配分・活用するかが大切です。

 

けいしん神奈川では、平成18年から、福祉サービス第三者評価を進めています。本年度、横浜市の福祉サービス第三者評価の評価者が8名増え、福祉サービス評価者は神奈川県や川崎市の評価者を含め17名になりました。

  

第三者評価では「気づき」を得てもらうことが重要視されています。「気づき」には、改善の「気づき」と改革の「気づき」があります。多くの評価機関は、提供しているサービスの改善の視点からの「気づき」を中心に、第三者評価を進めておりますが、けいしん神奈川の評価の特徴は、コンサルタント集団として組織マネジメントの視点から改善ではなく、改革につながる「気づき」を得ていただくことに力を入れております。


改善の「気づき」はすぐ実行でき効果が出ますが、改革につながる「気づき」は非常に重要な課題ととらえているがハードルが高く、なかなか実行に結びつかないが現状です。


「気づき」を継続的なカイゼン活動に結びつけるのが福祉施設のこれからの課題と考えています。特に、福祉施設の経営資源の多くはヒトです。ヒトの育成を踏まえた、経営力向上の取り組みが将来福祉施設で必要になると推測しています。第三者評価での「気づき」を継続的なカイゼン活動に結びつけることは、けいしん神奈川でしかできない活動と考えており、今後、強力に進めていくことが必要と考えています。


現在、公益社団法人として福祉サービスへの取り組みは、当法人の重点事業として取り組んでいます。多くの会員の方が福祉サービス業界に関心を持ち参加していただければと考えております。