吉崎茂夫

オリンピックに向けた日本の伝統を活かした技術

 今回のオリンピック・パラリンピック準備に関して、いろんな問題が話題になりました。費用の面やオリンピックの顔であるエンブレムのデザイン、国立競技場のデザインなどは皆さんもどうなるのか、と毎日のニュースを見ておられたと思います。

 この中で言われたのは、組織体制や責任の所在が不明確だとか、選定するプロセスが明確でない、非公開の中で物事が決定されている、など多く批判されました。しかし、こういったことは、日本では以前から問題になっていたことで、これらは時代とともに改善されていくでしょう。

 

 私が感心したのは、このような中にあっても、キラリと光る伝統技術と現代の感性を融合させた技術がみんなに支持されたということです。

 例えば、大きな問題になった、エンブレムのデザインについて、結果的には実にすばらしいものが選定されたと思います。

 このデザインは、江戸時代に「市松模様(いちまつもよう)」として広まったチェッカーデザインだそうです。これを、日本の伝統色である藍色で、粋な日本らしさを描いたデザインは、見る人に落ち着きと日本らしさ、多様性と調和を感じさせてくれます。

 また、新しい国立競技場については、思い切って木材を使った案が採用されています。これも、従来の鉄筋コンクリートの発想を変えながら、かつ日本の木材建築の繊細さ、細やかさを演出した、海外ではたぶん思いつかないものだと思います。

 木材に対しては、火災に弱い、といった弱点があります。しかし、私が聞いているある企業では「難燃性」の木材を開発しており、耐火テストでは、他の材料と比較しても何ら遜色がないものが開発されているとのことです。

 こうしてみると、オリンピック準備に向けた組織体制が云々されている中、デザイン、技術力では、これらを開発された個人の創造力、さらにその背後にある、日本の伝統技術がうまく融合していると感じます。

 「温故知新」という言葉がありますが、“古きをたずねて新しきを知る”、つまり、先人の知恵に学ぶことはいつの時代にもうまく活用することが大事です。

さらに古いものでも古いと感じさせずに、多くの人に受け入れられる工夫がされており、自分にもよい参考になったと感じています。