中野 工

~地域の経営を考える“まちづくり”~

 最近、“地域主権”とか“地域づくり”から“地方創生”や“地方消滅という言葉が多く聞かれるようになりました。そこで「地域」とか「地方」とは、いったい何でしょうか?

 

wikipediaによれば――

「地域」(area) とは「国内を一定に区画された土地」で「地域社会」とは「一定の社会的特徴をもった地域的範囲の上に成立している生活共同体」と定義されており、

「地方」(region)とは「大小に関係なく国内をいくつかの地域に分けて“地方”と言い、中央との対比が意識されています。「“地方創生”が“国策”として動き始めた」と言ったりしています。

 

そこで「まちづくり」という視点からいえば「地域」という言葉が適切であり、ここでは「“まちづくり”としての地域経営を考える」としました。

 

地域にはその地域の資源を活かした商・工・サービス業があり、子どもや高齢者を対象にした福祉サービス活動、歴史遺産・文化、スポーツなどの活動、そして地域コミュニティによる“まちづくり”の活動など、色々な事業活動がありますが、どれをとってもその活動の基本は“経営(マネージメント)”にあります。

 

そしてその事業形態は個人から法人、NPOなどの非営利法人など多岐にわたりますが、その地域の経営資源である人、物或いはサービス、金、情報などをどのように活かしてビジネスにするか、そしてその活動を継続・発展させるために、どのようにして質の良いビジネスにするか、これからの私ども経営診断の対象は、正に“地域のビジネス”であり、あらゆる地域に密着した活動を発展させる支援の仕事は限りなくあるのです。

 

 平成10年(1998年)に「中心市街地活性化法」が施行され、「大店立地法」「都市計画法」と共に「まちづくり3法」が発足し、中小商業者の育成と「まちの活性化」を総合的な観点から一体的に推進するため全国各地域に合った「まちづくり」を本来の目的とし、13省庁こぞっての支援措置や総合対策まで打ち出されましたが、その本来の目的が達せられるどころか中心市街地では、人口、商店数、販売額などは益々低下し、“まち”は衰退の一途となりました。各市町村では、「まちづくり条例」や「まちづくり基本計画」が策定され、TMO*による中心市街地活性化策が進められてきたにも拘らずその効果は殆どあがらず、遂に「新・中心市街地活性化法」の発足と他の2法の改正で新しい「まちづくり」を考えることになりました。


 即ち「まちづくり3法」はその機能が果たせないどころか、激しく変化する経済情勢に追いつけなくなったのは明白です。要するに「まちづくり」とは画一的な計画や法律で誘導できるものではなく、“まちは生き物”であり、ひとことで言えば「地域は地域がつくるもの」なのです。

*TMO(=Town Management Organization):中心市街地における商業まちづくりを管理・運営する機関をいう。

“まちの資源”を活かした“魅力あるまちづくり”とは何か?

     どの地域にも独自の優れた歴史・文化や自然・景観や人々の生活がある。

     どの地域にも住民によって支えられた多くの歴史・文化や優れた有形無形の人的・物的資産があり、地域住民が愛している各種の商工業や農水産牧畜業がある。この自然の恵みと歴史・文化の優れた資産を誇りとして活用しながら、地域の活性化を図り、これを地域住民の衣食住や生活に関わるすべての分野に展開し、その地域に相応しい「特色のある“まち”」をつくろう。

     その“まち”に住む地域住民たちが、各自のライフスタイルを考えながら、“まち”の魅力をどう活かすかを、みんなで考え、“まち”の資源を誇り、“まち”のファンを増やそう。

     そしてそれらの“まちづくり活動”を上手く支援し推進するのが地域の「まちづくり基本計画」であり、「まちづくり3法」なのではないでしょうか。

わが「まち活研」の活動方針は、住民の住民による住民のための“まちづくり”を支援する活動です。

かつて一世を風靡した都市計画家や建築家など"まちづくり"の専門家たちが書いた著書は一体どうなったのでしょうか。

これらの書籍が街の書店から消えつつあり、そしていま「少子高齢化社会」「地方創生」とか、また「地方消滅」やその反論などが盛んに賑わっています。「自然環境への対応」「歴史文化の見直し」などへの新たな挑戦が始まりました。全国どの"まち"も同じパターンの繰り返しはやめて、地域の特色を出そうという動きが各地で盛んに始まっています。

 

このような時代背景を踏まえて、私ども(公益社団法人)けいしん神奈川の専門研究会”まちづくり活動研究会”(略称「まち活研」)は、永年"まちづくり"に関わってきた学識経験者や実践的実務経験豊かな専門家達で構成するメンバーが立ち上がり、平成18年から約10年、県内のみならず、あらゆる地域に密着した活動を“運営”から“経営”へと発展させる支援の仕事をしてきました。

 

 “まちづくり”とは、それを裏付ける「理論」はあるが、あくまでも「実践活動」そのものです。そして「実践活動」は「理論」より遥かに複雑怪奇でもあります

これからの新しい時代に対応するための“新しいまちづくり"にとって何が一番必要であるかを知り、その考え方を取り入れたいのです。そして、その知識と知恵をヒントに、県内のみならず全国各地域で"本物のまちづくり"を目指そうしています。

 ”まちづくり活動“に熱意のある皆様のご参加をお待ちしています。

私の“まちづくり”実践活動

既に15年前、私はこの地域(大磯町)で「まちづくり会議」という団体を立上げ、地域で行ういろいろな活動を支援してきました。例えば初代の実行委員長を引受けた「いそっこ海の教室」というイベントは今年で11回目を迎えます。

 

これは地域の子供たちが“海を知り楽しく安全に遊んでもらう活動”で、スノーケリング、ダイビング、カヌー、ヨット教室、そして「定置網漁業」や「魚さばき教室」など、海に関係するいろいろな活動や遊びを親子で体験し楽しんでもらい、地域の観光、各種産業、レジャーなどの振興に役立てるものです。

 そのほか、現在も毎年恒例行事になった「子ども議会」も立ち上げました。また、この地域では10年前から始めた「オープンガーデン」のメンバーとしても関わり、毎年季節の良い4~5月になると希望する家の庭をオープンして地域の環境美化に貢献するという催しを続けています。

 

この度、私どもの地域は県で3番目の「新たな観光の核づくり」として認定されましたが、その活動を肉付けるための「景観計画に基づく景観形成」のため、数年前から「景観応援団」という委員会をつくっており、私はその委員にもなっていますので、この機会に「地域の歴史や文化に相応しい環境づくり」に貢献したいと考えています。

“まちづくり”活動のスキーム