中野 工

~ボイストレーニングを考える~

 ボイストレーニング(俗に言う“ボイトレ”)とは何でしょう? 最近、神奈川県の専門家集団としてその名を知られ始めてきた“(公社)けいしん神奈川”の新年会は、今年の酉(とり)年に因んで、「鳥の囀(さえず)り」ならぬ、ゲストの大村慶子講師による“ボイストレーニング”で幕を開けました。このところ健康ビジネスとして着目されはじめ、幼児から高齢者までを対象とする健康ビジネス“ボイストレーニング”とは一体何でしょう?

 鳥の囀りは多種多様ですが、人間の声も人それぞれです。場所や雰囲気によってその出し方も変わり、囁(ささや)いたり大声を張り上げたりします。そして人は、自分が出した声でも自分に聞こえる声と、他人に聞こえる声とは違います。自分の声を録音で聞いて恥ずかしいことはありませんか? しかし人の声の個人の差はあっても、その人に合った声のボイストレーニングのやり方は基本さえ解れば人それぞれで、その人に合ったやり方で良いでしょう。

 そういえば、元気の良い鳥の鳴き声は体全体を震わせて、力(ちから)一杯鳴いている鳥もいれば、可愛いらしい声で囁いている鳥もいますが、どの鳥も精一杯、全身で鳴いているのです。同じように、人間は生まれた時に精一杯“オギヤ~ぁ”と言う泣き声に始まり、歳をとるにつれて、声帯も変わり音色も変わってくるのです。声帯模写の出来る人は、それぞれの人の声の特徴をつかんで、その人に似た声が出せる特技を持っています。またテレビに出る人でも、聴く人によっては、聴き良い人もいれば聴きにくい人もいますが、聴く人によってそれぞれ好みがあってもよいでしょう。

 ところで、道具も使わず、幼児から年寄りまで誰でも簡単にできる健康法はこのボイストレーニングと言うものでしょう。基本は発声の体づくりに特化した、腹式呼吸、姿勢、共鳴の三つをポイントにし、喉の負担を軽くする発声法にあると言い、それはダンスやスポーツにも通じる奥が深いものと言われています。

 そういえば、私の同級生にイタリアで本格的に「ベルカント唱法」を習った者がいますが、彼はいつも健康そのもののカラオケ大好き人間で、校歌を歌わせれば抜群です。

 ベルカント唱法は、ドイツやフランスの子音唱法と違って、ナポリ民謡やカンツォーネなど母音を強調する歌い方で、下腹部を徐々に押し上げながら、自然の状態で体全体を震わせて歌う、日本語に合った歌い方なのです。

 私どもの地域でイタリアにのめり込んでいる男女の仲間がおり、本場のカンツォーネを聴きながら併せてイタリア語の読書をし、イタリアの文化を研究していますが、歳はとっても健康で長生きです。

 さぁ、皆さんもこれから本格的に“ボイストレーニング”を始めては如何でしょう。