中山 進

小売商業の厳しい現実と“初夢”

 商店の廃業やシャッター通り商店街が話題となって久しいですが、実際の商店数の推移を確かめてみます。一貫して増加を続けていた商業統計の小売商店数は1982年にピーク(172万店)となります。商業統計が3年ごとの時代で、実際のピークは1980年~1984年の間のどこかとなります。その後、大型店やチェーン店の進出の影響を受けて小売商店の総数は減少に転じますが、小売業の年間商品販売額は約15年間増加する高度消費社会の時代となります。やがて、年間商品販売額も1995年の生産年齢人口のピークに符牒を合わせて1997年がピーク(実際は1995年~1999年のどこか)となります。それ以降は小売商店数、年間商品販売額ともに減少傾向という時代に突入します。


 では、現在の小売商店数はどれくらいの水準なのでしょう。商業統計が5年ごととなり、最新の本調査である2007年の小売商店数は114万店、ピーク時の三分の二です。その後、経済センサスが創設されて商業統計の簡易調査が廃止され、さらに商業統計調査の周期を経済センサス-活動調査実施の2年後に変更するという経過があって、2014年に経済センサス-基礎調査と同時に実施されるまで、商業統計は7年間の空白があります。間もなく発表される最新の速報値はどれくらいの数になるのでしょうか。ちなみに、2012年実施の経済センサス・活動調査の小売事業所数は103万ですから、ピーク時の半減に近い数になっているかもしれません。シャッター通りを目にする機会が多いのは当然のことといえます。さらに、2008年をピークに人口減少社会に転じ、今後長期にわたって減少を続けることが確実となって、かつてのような商店数の復活によって活性化を目指すこ

とは望むべくもない現実となりました。


 小売商業や商店街はどうなっていくのでしょう。商店の廃業が止まない中で、各地で行われている街ゼミは好評なことが示しているように、世代を継いで専門性を蓄積し、地域消費者の期待に応える専門店は確実に残っていくと思います。しかし、残ったものを持続するだけでは商店、商店街の再生は遠く、根源的な変革や再編が求められています。すでに、試行されている取り組みの中に兆しが現れているように思いますが、以下のような商店や商店街が現れてくることを願っています。


 空調のきいた店舗で客を待ち、パッケージ商品をレジで清算する、これでは、いくら長時間営業しても負担やロスばかり大きく、大型店やCVSなどのチェーン店に敵うはずはありません。簡易な店舗で食料品だけでなく多種の商品を恒常的に販売する欧州の市場(いちば)のような、曜日や時間限定で楽しさを提供する店舗や集積の場づくり。もう一つは、少なくなった商店の集積に新しい来街動機を付加する、図書館、ミニ映画館や劇場などを核施設とした商店街の再編。縁遠いと考えられていた「文化」の吸引力は小さくないと思います。