NPO法人五つのパン理事 岩永俊朗

 理事岩永敏郎氏は、30代後半の時に教会(牧師・鹿毛独歩)で盲目の青年と出会ったことがきっかけで、障がい者とともに生きようと決意し、半導体関連の商社を40歳で退職しました。障がい者支援の現場を知ろうと様々な経験を経たのち、2002年に訪問介護事業を目的とする「五つのパン」をスタート。2004年6月には、「弱さを持つ人同士が助け合える場」をつくることを目指し、NPO法人五つのパンを設立しました。

 

 現在NPO法人は、主に次の3つ事業を実施し、地域(都筑区)ニーズに応える活動をしています。

①主に精神障がい者を対象にする訪問介護事業。

②「マローンおばさんの部屋」:手作り絵本、製本、布小物政策などとカフェを兼ねた地域活動支援センター(精神障がい者地域作業所型)を都筑区仲町台に2009年に開設。費用は横浜市からの補助金で賄われている。

③「いのちの木」:高齢者、職人が培ってきた技術、知恵、体験を次世代につなぐためのワークショップ&カフェを、仲町台駅前に開設。開設時は補助金を頂いたが、世代間を横に(おばあちゃんから孫に)つなげていくような事業を補助する制度がなく、運営費用は自費で賄っている。

 

 岩永氏は、理事長職をNPO設立時に監事を務めた牧師・鹿毛独歩氏にバトンタッチをしました。現在は、プロジェクト担当理事として、2012年1月にカフェ「いのちの木」の開設、手製本の技術を学ぶ「本づくり学校」や「編み物サークル」をリードしています。

 

 「本づくり学校」は、老舗「美篶堂(みすずどう)」と一緒に運営して、手製本の職人技を教えています。技術を学ぶうちに、絵本だけでなく、手帳も製作するようになりました。手帳のカレンダーは、子供が喜びそうな季節感のあるタッチでイラストが描かれており、子育て中の女性には好評を博しているようです。

 

 「編み物サークル」は、近隣のおばちゃんの呼びかけが切掛けで始まりました。編み棒を動かしながら世間話をしたり、時には悩みを打ち明けたりと和やかな雰囲気で語らっていました。

 変化は2014年春に、突然やって来ました。ハンドメイドバックブランドの設立準備を進めていたファッション雑誌の編集者からニットクラッチバックの製作を頼またのです。手作りバックは有名ファッション誌にも紹介され、インターネットでの販売開始からたった30分で完売したそうです。

 

 「編み物サークル」の彼女らは、おばちゃんパワー(技術力、経験等)を自覚し、自分たちのブランドを創るという取組みを始めました。それには資金がいるので、クラウドファンディングにも挑戦しました。

 

 集めた資金は材料費やイベント開催費用等に充当するということで、最低必要金額を30万円(目標金額45万円)に設定。2014年10月~2015年1月までの期間で、426,800円(達成金額)を集めることができ、クラウドファンディングが成立しました。クラウドファンディングの出資者(知合いと新規が半数づつ)とは、定期的に報告書を出して、絆が切れないようにしているとのことです。

 “資金をクラウドファンディングで集めた”ということは、PR効果が大で、マスコミ例えば、日経、読売、TVもくる、クローズアップ現代などにも採りあげられました。

 

 「いのちの木」が目指すものは、長年の経験によって培われた高齢者の手仕事(洋裁など)の技術や知恵に着目し、それらを主婦や障がい者、ニートや引きこもりなどの若者たちに伝える場を創ることだと、岩永氏は語っています。(文責:広報)