中小企業の資金調達に役立つ金融検査の知識等について

中小企業は金融検査の知識を活用すべき

 金融検査マニュアルには、中小企業の特性に留意して判断すべきという別冊(中小企業融資編)があります。金融機関もこのマニュアルを参考にして、中小企業の経営状態や将来性を評価しています。

 「この別冊には中小企業を高く評価するためのヒントがたくさん記載されており、企業経営者には是非読んでほしい」、セミナーでは別冊を分かりやすく解説した冊子「知ってナットク! 中小企業の資金調達に役立つ金融検査の知識」を用いて話されました。

 

 短期的に財務状況が悪化しても、それは中小企業の特性によることで、その悪化した経営状態の見方や、将来性を高く評価するための具体的な判断材料や運用例が冊子には記載されています。「中小企業の経営者はこのマニュアル別冊を読み、金融機関側からの働きかけを待つのではなく、中小企業側からも企業・事業再生などへの意欲を金融機関側にアピールし、協力を求める。」ことが重要だと講師は、何度も強調しています。

 

 さらに講師からは、金融機関の理解を得ることさえできれば、資金融資を受けやすくする「資本性借入金」、在庫や売掛金を担保にする「ABL」、運転資金を借換る「短期継続融資」という制度が使えるので、活用されたいとの話がありました。

 

「知ってナットク!」にある中小企業の評価のポイント

 金融機関は融資先企業ごとに、企業の財務状況や融資の返済状況をみて、債務者区分(正常先、要注意先.破綻懸念先、実質破綻先、破綻先)で分類しています。

 中小企業に赤字や債務超過が生じていたり、貸出条件を変更していたりといった表面的な現象のみをもって、債務者区分をするのは不適切だと冊子では指摘しています。

 実際に金融機関が中小企業の特性を踏まえて、高く評価したポイントを次に上げます。

〇中小企業と大企業は異なる扱い 実情に即した柔軟な判断をする

  1. 中小・零細企業は総じて景気の影響を受けやすく、一時的な収益悪化により赤字に陥りやすい面がある。
  2. 自己資本が大企業に比べて小さいため、一時的な要因により債務超過に陥りやすい面がある。
  3. また、大企業と比較してリストラの余地等も小さく黒字化や債務超過解消までに時間がかかることが多い。

〇経営者と企業の一体性を踏まえて判断する、例えば

  1. 代表者等からの借入金については、自己資本とみなすことができる
  2. 代表者等への報酬や家賃の支払等により赤字であるなら、借入金の返済原資を代表者等が出している場合もあるので、機械的に返済能力がないと判断してよいか

〇技術力・販売力を証明する材料があるなら、企業の将来性に期待し、現段階での決算等の数値のみにとらわれない柔軟な評価を行う

〇経営者がしっかり努力しているなら、企業の将来性を期待して高く評価する

〇経営改善計画を下回った場合でも、経営改善に向けた取組が進んでいれば、高く評価する

 

新たな視点に基づく金融支援

 「資本制借入金」とは、金融機関の判断により負債ではなく、資本とみなすことができる借入金。十分な資本的性質が認められるには、「長期間償還が不要な状態であること」、「配当可能利益に応じた金利設定」、「法的破綻時の劣後性」といった条件が必要。金利は業績連動型で、業績が悪化したときには「事務コスト相当の金利」を設定することも可能。金融機関には、通常より高いリスクがあり、経営改善の見込みがあることが前提。

「ABL(動産・売掛金担保融資)」の積極的活用

 ABLは在庫や売掛金等を活用する資金調達の方法で、在庫や売掛金等に担保権を設定することで、金融機関から融資を受けることになります。一方、借手企業は、在庫や売掛金等の状況を、金融機関に定期的に報告する必要があります。

「短期継続融資」

 無担保・無保証の短期継続融資で運転資金を借りることも可能です。直近の試算表、業績予想、資金繰り表、注文書等を用いて、金融機関にしっかり説明するようにすれば、無担保・無保証の短期融資の書換時に、金融機関が目利きを発揮して書換に応じても問題ない例が、事例20で報告されています。