神奈川の“美味しい”をビジネスに!

    ~地元食材を活用した事業成功例に学ぶ~

 2016年10月1日、平成28年度のビジネス支援講座が神奈川県立図書館で開催されました。神奈川らしさを活かした食のビジネスをテーマに、お二人の講師による実践的な事例報告が中小企業診断士・為崎緑氏のコーディネイトにより行われました。

事例報告① 横浜野菜を使った「からだ想いランチ」の提供

   有澤つあ子氏

     有限会社有アンド長(アリアンドナガ) みんなのキッチン代表 

 意外にも農業が盛んな横浜市の中で、働く若い世代が比較的多い都築区において地元の農家、料理家や管理栄養士とチームを組み、地元野菜中心の「からだ想いランチ」の提供事業を通してビジネスの視点から明らかになってきたいくつかの課題と具体策が紹介されました。

  • 働く世代の本音は野菜よりも揚げ物やニクなので、ボリュームが感じられるメニュー。また、管理栄養士が前面にでると「理屈」のイメージで受け取られることが多いため、美味しさが感じられるように「鮮度を表現するメニュー」の開発に取り組んでいる。
  • 地元野菜を使うとランチの競争上ではやや割高の800円になるが、750円でコーヒー付き程度にするために、「B級品(曲がった野菜など)」を出荷したがらない農家の意識を変える話し合いをすすめている。
  • エスニックなど新奇なメニュー・味付けは浸透に時間がかかるので、誰にも分かりやすい馴染みのメニューを中心にしている。
  • 「売り切れ」をだすと再び来なくなる人が多いので、生産計画や素材の組み合わせで売れ残らない工夫をしている。

事例報告② 漁師さんとの連携による「湘南しらすの沖漬け」の開発

    矢野ふき子氏 料理教室「鎌倉ダイニング」主宰

 あるとき漁師から「かたくちいわし」を大量にもらい、料理教室で使いきれない分をアンチョビにしたところ高級食材であった外国産に負けない味になり、そこで、商品開発に取り組み、生産者(漁師)と連携して地域限定の「鎌倉アンチョビ」として事業化したのがきっかけでした。

 鎌倉アンチョビでお世話になっているしらすの網元から日持ちのしない生しらすの調理を頼まれ、船上で漁獲直後の活しらすを漬ける特製タレを開発して、相模湾の漁師さんと連携して相互にメリットのある「湘南しらすの沖漬け」としてオンリーワンの付加価値づくりをすすめ競争優位を築いてきました。競合商品もでてきましたが、産地と販売所を湘南(相模湾)という原則を崩さず、現在は年間10万個の需要に応えるまでになっています。

 質疑応答のあと、コーディネーターの為崎緑氏は地産地消の意義(図1)を話されました。さらに、活動主体から見た地産・地消の類型化(図2)を提示し、直売所などの各活動主体における事例が紹介されました。

 2000年以降食品をめぐる事件や事故が多発し、消費者の食料品への不信と不安が高まり、消費者の食料品に対する安全・安心志向が高まっています。生産者が消費者や実需者のニーズを的確に把握してそれに沿った生産を行えば、地場産業が発展するものと考えられます。

(文責:広報担当、取材:中山理事)