米海軍横須賀基地 建設・設備工事 事例紹介セミナー

 横須賀商工会議所にて、米各軍横須賀基地における建設・設備工事の事例紹介セミナー(下記)がありました。約30年弱にわたり米海軍と取引をしている株式会社ニッカイ・代表取締役坂本俊介氏からは海軍基地内での建設工事の入札から入金までの流れを、契約顧問である西田理恵氏からは契約に係るアドバイスをお話しして頂きました。(文責:広報)

 

平成28年2月10日(水)13時30分~15時 横須賀商工会議所

米海軍基地内での建設工事事例紹介 株式会社ニッカイ* 代表取締役 坂本俊介氏

米海軍極東施設技術部隊 契約顧問 西田理恵氏

 

*株式会社ニッカイは、横須賀米海軍基地施設(NAVFAC/FISC/USNH/SRF)を主とする、建築全般、土木、設備、空調・配管工事の設計から施工までの建設工事を請負うゼネコンです。

 

米海軍基地工事の魅力は現金が振り込まれること

工事が完了したら、Pre-final inspection/Final inspectionを申請する。立ち合い検査で指摘された事項を修正して報告する。確認されたのち、Close Out Submittals(工事完了に伴う要求書類)請求書を提出し、1カ月後に「現金」が振り込まれる。これが大きな、他の工事にはない大きな魅力です。

 

基地ビジネスに新規参入するには、一般競争入札から参加する

 ASIA NECO(Navy Electronic Commerce Online=米海軍の入札情報サイト)を使って希望物件を探し、現場説明会への参加を登録します。ASIA NECOには、作業内容、入札の日時、現場説明会の情報、軍予算の範囲等がすべて英語で表記されています。仕様書は約50頁あるが、施工物件に関する情報は写真を含めて3頁ぐらいで、残りは環境や管理に係る情報です。

 

 英文で書かれた仕様書を読み、現場で施工物件を確認、疑問点があれば英文で質問書を提出、回答をもらい、工事価額を見積もります。見積もる際には、土日の他に米国の祝日も休みで作業ができないことを念頭におきます。日本の公共工事とは違い、自分の信じる価額で入札をします。米海軍は予算がオーバーした場合に、個別に交渉をすることもあるそうです。

 入札時に、入札金額が15万ドル以上の物件には、Bid Bond(入札金額の20%)を添付することになります。

 落札すると、施工保証のためのPerformance Bond(契約金額の100%)、10種類の資料(工程表、安全衛生、環境対策、作業手順・・・・)を短期間に英文で作成し、着工前会議に臨みます。

Bid Bond:プラント工事請負など金額が大きく期間も長い取引において、入札参加者に入札時に要求する保証金。この制度は不正業者の参入防止や落札者の締結拒否リスクへの抑止措置として用いられる。

 

Performance Bond:請負業者が契約の条件に従って契約を履行すること(目的物の完成)や、売主が売買契約・供給契約に定められた条件に従って引渡し・供給することを発注者や買主に保証するものである。

 工事を着手すると毎日、工事日報や安全日報を提出します。その際、現場と図面が喰い違っているケースも出てきます。米海軍も書面による手続主義ですから、RFI(Request For Information)に食い違う点を記載して、回答をもらいます。喰い違っている点を再見積、先方と交渉し、契約を変更します。図面も該当個所を変更し、赤で修正した図面を現場で保管するようにします。

 

 工事が完了したら、Pre-final inspection/Final inspectionを申請します。立ち合い検査で指摘された事項を修正して報告し、確認されたのち、Close Out Submittals(工事完了に伴う要求書類)請求書を提出します。1カ月後には「現金」が振り込ます。

 

全ての契約には、QCマネージャと現場安全衛生管理者の資格が要求される

 工事には、品質管理を取り仕切るQCマネージャーが必要です。大きな物件でなければ2級施工管理技士で十分ですが、大きな物件なら1級施工管理技士が要求されます。2級管理施工管理技士で、5年以上の経験を積めば1級管理施工技士に認定されます。

 有資格者を選任すると、米軍側での3日間のQCトレーニングがあります。テストに合格しないと、受講証明書が発行されません。

 

 安全対策は米国(EM385-1-1)と日本の両方を満足させる必要があります。安全対策の心構えは変わりませんが、習慣の違い、基準値の違い、やり方の違いがあります。特にアスベストの除去、鉛含有ペイントには煩いです。千葉県にあるトレーニングセンターで2泊3日のコースを受講して、現場安全衛生管理者(SSHO=site safety health officer)の受講証明書を英文で発行してもらいます。

株式会社ニッカイ 代表取締役 坂本俊介氏からのメッセージ

米海軍施設が発注する建設工事は横須賀市の大きな産業であり、当社以外は横須賀市以外の業者で残念に思っている。できれば、横須賀市内の業者でまわるようにしたいと思っている。米国の独特な仕事の仕方を、私共と一緒に仕事を進め、慣れてもらえばと思っている。

契約顧問 西田理恵氏からのメッセージ

 仕様書は全て英語、質問書も英語、立会検査も英語でのやりとり。最初は、どこかの下請けに入って仕事の仕方を覚え、さらに英語に慣れて頂くこと重要です。米軍は3~5年で担当者が入れ替わり、担当者によって仕事の進め方も変わる。引き継いだ担当者と交渉するには、サイン付の書類がベースです。米国が嫌うのは、談合等のアンフェアなこと言うまでもないが、「はっきりしないこと」が嫌われます。常に、受答えを明確にすることが必要です。

横須賀商工会議所からのメッセージ

 米海軍と取引するにあたり、①ダンズナンバー(DUNSNumber=企業識別ナンバー)の取得、②エヌケージコード(NCAGE CODE=取引認識符号)の取得、③サム(SAM: System for Award Management)に会社の登録、④アジアネコ(AsiaNECO)の登録という手続きをします。アジアネコで探索した物件の仕様書は全て英文ですから、ときには仕様書の翻訳が必要になります。

 横須賀商工会議所が提供する横須賀ビジネスパートナーとなった会員には、取引に係る諸々の業務を支援する仕組みが整っているとのことです。