商業・商店街振興渾身の30年で見えてきたこと

 講師は30年前に神奈川県商業振興課に入り、ずっと商業・商店街振興に携わってきました。初めて商店街の会長に挨拶に行ったところ、会長から何しに来たと言われたそうです。補助金を持ってきたのかという謎かけです。

 補助金をもらえば家賃28万円の店が借りられる、貰えなければ15万円の店になる。補助金は申請期限があるから、エイヤで決めてしまう。家賃28万円で経営を続けていけるのか、悔いが残る。補助金をあてにした経営は良くないという思いのようです。

 

どうすればやる気がでるか

 サラリーマンから独立した経営者に何が大変かを聞いてみた。会社にいた頃は、面倒だと思っても、色々と誘ってくれる。でも、独立したら誰も声をかけてくれない。中小企業の経営者は基本的に孤独です。経営者を知識でねじ伏せるのではなく、飲みに誘い、誰にも言えないような心配事を聞いてあげる、という寄り添う姿勢で支援すれば、経営者に喜んでいただける。行政は3年間で異動するが、経営者は一生そこに住む。だから、行政は長期的(10年~20年)に役に立つ知恵を一緒に考える思いがなければならない。

 

ポスト補助金 知恵とネットワーク

 店主や商店街の理事長が「客が少なくなった」とよく嘆きますが、どうやってお店や商店街を知ってもらうかを忘れているようです。「知ってもらう」というアクションを起こせば、興味を持ってもらい、また来てもらうという好循環サイクルが望めます。アクションの例として、朝市、ちょい呑み、ご当地ものの開発等のイベントがあります。アクションを起こす人たちには、街を超えたチームやプロジェクトで頑張っている人たち、ボランティア団体やNPOなどがあります。冊子「日本人も外国人もレッツゴートウ商店街!」には、商業流通課も一緒に支援した姿が記載されており、その中から2つの事例を採りあげます。

 

 鶴間~南林間地区の商店街は半分以上シャッターが閉まり、閑散としていた・・・。市民団体「みなちかやまと」が商業流通課の協力を得て「ファッションショー」を企画。モデルは80歳を中心にしたシニアたち。看板娘は102歳で最高齢。カラーコンサルタントがパーソナルカラー診断によるお似合いの色を身に付けて出演するファッションショーです。シニアを前向きに変えた「色」は、モノトーンの街に活気をもたらし、もう一度カラフルに生まれ変わる力になってくれそう。

 

 藤棚地区の商店街に日本一小さな映画館が出来た。今井蒲鉾店の御主人と「シネマノヴァチェント」支配人がともに企画を練り、そして生まれたのが『今夜は名画でさつま揚げナイト!!』。『嵐を呼ぶ男』を鑑賞後、さつま揚げと薩摩焼酎で懇親会、大いに盛り上がる。この成功体験から、「店や商品そのものが地域の資源。これを発信していこう」と、続々とイベントを展開して、挑戦中です。

 

 商店街に「あれがないこれがない」といって無いものねだりをしても前には進まない。残っている資産を大切にして、イベントを組み、1日だけでも長く延ばすことが大切だ。残っている資産をうまく活用する知恵、人と人の触れ合いから新たな知恵と活力が生まれる。「日本人も外国人もレッツゴートウ商店街!」を見て、アクションを起こす力をもらえということかな。