中小企業経営者及び創業者セミナー第3弾が、平成26年11月21日(19時~21時)藤沢商工会館にて開催されました。有限会社オフィス結アジア(http://office-yui.co.jp/)代表取締役高橋宜盟様は、ご自身の起業体験を踏まえて、これから創業を目指す方達にたくさんのアドバイスをしました。
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「コンニチワ、ユウゲンカイシャ オフィスユイアジア ノ タカハシ ヨシアキ デス」と、若干聞きなれないトーンで講演がスタートしました。高橋さんが話しをしているには、全然唇が動いていない。よく見るとマイクをタブレットに近づけているではありませんか。
話す内容を予めタブレットの中に打込んでおく。フレーズをタップしてテキストを順繰りに読み出しては、音声合成エンジンが滑らかな音声を発することで、聞こえてくるのだと分かりました。
商品を開発した切っ掛けは、電車の中で電話がかかって来たときに「はい」「いいえ」と簡単な返事を返す、或いは「乗車中なので、折り返し返事します」といったことを伝えることができれば、という思いからだとうかがいました。
2010年11月に藤沢市で開催された「湘南ビジネスプランコンテスト」に、指伝話の元となる仕様で出展。「電話に出られなければ、メールやSNSを使えばいい」とケチョンケチョンに評されたそうです。
整形外科医の赤木家康先生(故人)に、指伝話の開発版をお見せしたところ、使いたいと云われたそうです。赤木先生は47歳で喉頭癌を発症し、喉頭癌の手術で声を失いました。患者との会話ができなければ、診察ができません。医師を辞めようかと悩んでいるときに、指伝話に遭遇しました。このとき、患者に指伝話で問いかけ、先生が耳で聞くという診療スタイルができあがったのです。
障がい者へのマーケットが見えた瞬間です。指伝話キット(96,600円)が障がい者が使用する日常生活用具に認定されれば、行政が購入資金の一部を負担してくれる制度があります。挑戦しましたが、iPadはあれにも、これにも使える、専用機でないからダメだと市町村から拒絶されました。色々工夫して、藤沢市長と直談判したところ、2週間でOKを出してくれたそうです。なんと障がい者が、一割負担(9,660円)をすれば購入できることになりました。いままでダメ出しをしていた市町村が、次々とOKを出してくれるようになったとのことです。
このような経験を踏まえて、創業者の方へたくさんのアドバイスがありましたが、そのうち幾つかを紹介します。
l 事務所を構えればオンとオフの切替ができる。藤沢市インキュベーションルームの入居条件が創業5年以内であったが、第二創業ということで交渉し、許可を頂いた。
l 藤沢市で起業した。東京で起業しないのかとよく言われるが、東京だとワンノブゼム。地方だと、親身になって相談してくれる。
l 税金は滞納するな!公的支援が得られなくなる。
l 借入金の返済はきちんとする。2回目が借りられない。金融の世界は狭く、全部筒抜けだと思ったほうがよい。
l 設立時にメインバンクを考えて、地元の信用金庫を大事にする。
l 専門家派遣 神奈川県が費用の3分の2を負担。税理士の先生と出会い、月次決算の仕組みを導入できた。当事者として考えてくれる専門家を信頼すべき。
l 知的財産権は金融機関の融資条件ともなる。商標は「ユビデンワ」でとった。実用新案は、申請すると必ず登録される。技術評価書は請求しない。特許になる可能性が見えた時点で特許化する。
l 投資企業から資本を受け入れると必ず経営に関与し、月給100万円を要する人を受け入れなければならず、結果的に赤字になる。受け入れないようにしている。
l ビジネスプランは絶対に作るべき。財務計画をたてるのは下手くそであったが、「かながわビジネスオーディション」でKSP賞を受賞した。その賞金が「ビジネスプラン作成コース」であった。早速、受講した。
(文責:広報)